信用情報についてお調べになる方のほとんどは次のような方ではないでしょうか。

  • 滞納や法的手続き(再生・破産等)をした、もしくはこれからする予定のある方
  • 過去に滞納や法的手続き(再生・破産等)をしており、新たに融資の申込をした、もしくはこれからする予定の方

そしてほとんどの関心事はひとつに集約されます。
「信用情報の履歴はいつまで残っているの?」

貸金業務取扱主任者として信用情報機関(JICC)端末やシステムの導入、入力業務も行ったことのある私がご説明をします。

個人信用情報とは?

個人信用情報とは

個人信用情報とは

「クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、
客観的な取引事実を登録した個人の情報」

のことを言います。

各金融機関はこの情報を判断材料のひとつとして融資可否の審査を行います。
ではそのルールや登録内容とは?そもそもどこに登録されているのか?

順に確認していきましょう。

個人信用情報はどこに情報登録されるのか?

まずは登録されているところについてです。
各金融機関は個別に信用情報というものを管理しているワケではありません。
業種ごとに異なった信用情報機関という団体に加盟という形で所属しており、その団体に信用情報を登録し加盟社で共有しているのです。

信用情報機関は以下の3団体あります。

JICC:主に貸金業者が登録 1312社加盟 ※1
CIC:貸金業者、割賦販売業者、消費者信用取引をしている会社などが登録 903社加盟 ※2
JBA:都市銀行・地方銀行・ネット銀行・信金・信組・協同組合などが登録 215社加盟 ※3

※1 2022年2月28日時点 ※2 2022年2月20日時点 ※3 2021年9月16日時点

JICCは貸金業法(2010年6月施行)、CICは貸金業法および割賦販売法(2010年12月施行)によって指定信用情報機関となり、貸金業者等は信用情報の登録を義務付けられました。

この2つの団体は、貸金業法および割賦販売法施行前の多重債務等の問題を受けて、過剰貸し付け等をしないよう適正な審査および貸付業務等を行うことで一般消費者の利益の保護を図るという法律の趣旨を達成するために指定されました。

一方でJBAは明治10年に前身の銀行団体「択善会」が誕生し、2011年に現在の姿になっております。日本で事業運営している銀行等のほとんどが加盟しており、銀行業を通じて国民経済に資することを目的として団体ルールに則り運営をしています。

個人信用情報登録の流れ

信用情報が信用情報機関に登録されていることはご説明しました。
ではどのような流れで利用・登録が行われているのでしょうか。

以下の通りです。

申込

1. 申込書に本人情報等を記入する

本人情報

  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所および電話番号
  • 勤務先および勤務先電話番号
  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート・健康保険証など)

なお申込の際に申込金額・返済希望期間・年収などを記載しますが、信用情報としては取り扱われません。

2. 申込書等に記載の「個人情報の取り扱いに関する同意書」に同意をする。

金融機関は審査時に借入状況確認のため信用情報機関に照会をかけますが、当然ながらご本人の同意が必要となります。そこで金融機関は「個人信用情報の取り扱いに関する同意書」に個人情報の使用・信用情報機関への情報提供などを記載し、申込書と同時に同意書を受領します。

リンク:JICC「信用情報 同意の取得について」https://www.jicc.co.jp/credit_info/consent/

3. 金融機関が加盟している信用情報機関に照会をし、情報提供を受ける

金融機関が申込の際の本人情報に基づいて信用情報機関に照会をし、情報提供を受けます。

4. 金融機関にて信用情報を基に融資の審査をする(融資不可の場合ここで終了)

契約締結

5. 審査OKだったので金銭消費貸借契約を締結する
6. 契約内容を信用情報機関に登録する

ここでようやく信用情報機関に情報を提供します。
提供する情報は「本人情報+契約情報」です。

契約情報

  • 契約の種類(本人契約か保証人としての契約か)
  • 契約の内容
  • 契約年月日および契約終了予定日
  • 支払回数
  • 契約額(極度額)

などです。

取引中

7. 契約期間中の入金状況等を信用情報機関に情報提供する
  • 報告日
  • 請求額、入金額および残高

などです。

金融事故発生

8. 金融事故情報を信用情報機関に提供する

予定日に入金がなかったり、長期の延滞が発生すると信用情報機関に情報提供を行います。

  • 支払遅延や異動
  • 注意情報等(法的手続きや債務整理など)
  • 遅延発生後の経過状況

などです。

9. 返済能力調査のために途上与信として信用情報機関に照会をする(照会記録)

※他の理由で照会することもありますがメインは途上与信です。
基本的に申込の際の照会と同内容の情報提供を受けます。

契約終了

10. 契約終了等を信用情報機関に登録する

金融機関が契約を終了するには以下のようなパターンがあります。

  • 完済
  • 本人以外の弁済(保証人や保証会社など)
  • 法的手続きによる免責(請求権がなくなる)
  • 債権譲渡(サービサーなどの第三者に債権を譲渡する)
  • 貸し倒れ(社内で貸倒として処理する)

などです。

個人信用情報の登録期間は?

信用情報の履歴はいつまで残っているのか。それは情報内容によって異なります。
各信用情報機関によって範囲だったり起算日だったりが多少異なりますが、ざっくりと以下のようなイメージです。

  • 申込に関する情報 6か月
  • 契約および取引に関する情報 1年
  • 金融事故に関する情報 5年もしくは10年

ちなみに金融事故に関する情報の「10年」というのはJBAが登録する官報情報のみとなります。
官報情報とは破産・民事再生手続のことで、開始決定日から10年は信用情報機関に登録されています。

各信用情報機関について

JICCとは

まずはJICCからです。

JICCで確認すべきは以下の二種類です。

  • ファイルD(借入情報を主とした情報)
  • ファイルM(クレジット情報を主とした情報 ※月次で登録・更新)
ファイルDの異動参考情報
異動参考情報登録期間
延滞(約定日から3か月以上)延滞継続中
延滞解消延滞解消日から1年を超えない期間
債権回収発生日から5年を超えない期間
債務整理
破産・特定調停・民事再生
保証履行・保証契約弁済
ファイルMの支払遅延の有無情報および注意情報
支払遅延の有無情報および注意情報登録期間
遅延(約定日から61日以上または3か月以上)遅延継続中
遅延解消遅延解消日から1年を超えない期間
延滞後貸倒発生日から5年を超えない期間
破産・特定調停・民事再生
保証履行・代位弁済

☆ポイント
債務整理の情報を登録している信用情報機関はJICCのみ

CICとは

CICの信用情報は3つに区分され、保有期間がそれぞれ異なります。なお皆さんが気にしている延滞・法的手続き等に関する情報はこのうち「クレジット情報」に登録されています。

情報区分
クレジット情報クレジットやローン等の契約内容・支払状況・残高などの情報
申込情報申込時にクレジット会社等が審査のために信用情報を確認した情報
利用記録クレジット会社等が返済状況等を調査するために信用情報を確認した情報
保有期間
クレジット情報契約期間中、および契約終了から5年間
申込情報クレジット会社等がアクセスした日から6か月間
利用記録

ちなみにクレジット情報の中でチェックすべきは主に3か所です。

1、返済状況・・・ここでは延滞(約定日から61日以上または3か月以上)・法的手続き等があったら「異動」と表記されます。

2、終了状況・・・終了から5年間が保有期間となります。
ここで注意すべき点は破産等についてです。JICCでは破産申立は「発生日から5年を超えない日」とありましたが、CICでは「法的免責」をもって終了となるため、「支払の免除が法的に認められた日から5年間」が保有期間となります。

3、入金状況・・・ここがCICの特徴です。直近24か月の契約中の入金状況が細かく記載されています。「異動」されるほどの長期の延滞がなかったとしても、約定日に入金がなければその履歴は確認されてしまいます。

JBAとは

JBAでは5つに区分され情報が登録されています。

  1. 取引情報
  2. 不渡情報
  3. 官報情報
  4. 本人申告情報
  5. 照会記録情報

そして個人の方が主に確認すべき情報およびその登録期間は以下の通りです。

取引情報契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間
官報情報破産・民事再生手続開始決定の日から10年を超えない期間
照会記録情報照会日から1年を超えない期間(会員への回答は6か月を超えない期間)

☆ポイント
JBAの官報情報は10年

信用情報機関同士の情報共有

JICC・CIC・JBAこれらの信用情報機関はそれぞれが保有する情報を共有しています。
その情報共有システムをCRINとFAINEと言います。

CRINFINE
CRedit Information NetworkFinancial Information Network
自主的運用による情報交流貸金業法で義務付けによる情報交流
JICC・CIC・JBA間JICC・CIC間

CRIN

JICCのホームページではCRINについて以下のように記述があります。

「各信用情報機関が保有する信用情報のうち延滞等の情報及び本人確認書類の紛失・盗難等に係る本人申告コメント情報等を交流する。」

FINE

FINEは貸金業法で定められた複数指定信用情報機関の相互情報交流です。

JICCのホームページでは

「創設された指定信用情報機関制度では、指定信用情報機関が複数存在する場合は、貸金業者が消費者の総借入残高を正確に把握できる仕組みとして、相互に残高情報などの交流を行うことが義務付けられています。」

とあります。

貸金業法では過剰貸し付けをさせないよう返済能力調査を義務付けており、信用情報が調査に必要不可欠なためです。

官報情報の情報共有について

JBAでの官報情報は10年と説明をしました。

「だとしたら、たとえ5年が経過してJICCやCICの登録情報が消えたとしても、JBAの官報情報の登録期間は10年なのだからCRINで情報共有されたらJICCもCICも10年間その情報にアクセスできることになりますよね?」

そんな質問が聞こえてきそうですがご安心下さい。
結論から言うとCRINではその情報は共有されません。

(ただしJICCおよびCICにおいて自己破産などの情報が保有期間を経過して消えたとしても、官報情報は全国民がアクセスできるわけですから各金融機関が独自に保管することも可能であるということだけは念頭に置いておいて下さい。)