1. 離婚協議書の書き方

  • 子供のこと
  • お金のこと
  • その他

のことを記載(書式は自由)した協議書を2部作成し、双方署名捺印の上、1部ずつ保管します。

1-1. 子供のこと

  • 親権者
  • 面会交流
  • 養育費

① 親権者

親権については日本では単独親権となるためどちらか一方に決めなければなりません。お子さんが複数人いる場合にはそれぞれについて親権者を決める必要があります。なお親権とは子供に対する以下の2つの権利のことを合わせて親権と言います。

  • 身上監護権(子供の世話や教育)
  • 財産管理権(子供の財産を管理)

なお2つの権利を分けること自体は可能ですが、子供にとっては決して望ましい形ではないため、親権者としてそのままどちらかを記載することになるのが一般的です。

② 面会交流

親権を持たない一方の親が子供と面会する際の頻度や方法などを取り決めします。

③ 養育費

養育費については原則定額の月払いです。ただし進学や病気といった特別な事情により養育する費用も変動しますのでその点については別途協議ができるように記載しておくことが一般的です。

1-2. お金のこと

お金のことは以下の5つになります。

  • 慰謝料
  • 婚姻費用
  • 財産分与
  • 年金分割
  • 養育費

基本的にはそれぞれ「金額・支払期日・支払方法」を記載します。

1-3. その他

  • 通知義務
  • 強制執行
  • 清算条項

① 通知義務

基本的には子供のことで離婚後も連絡が必要になるケースもございます。住所や電話番号などが変更した場合についてはお互いに通知し合うことを約束しておくと、いざという時に便利です。

② 強制執行

分割払いになっている慰謝料や財産分与、もしくは月々の養育費などが不払いになった場合の措置としての条項。この条項を入れて「公正証書」を作成することで、いざという時に給料や財産の差押が可能となります。

③ 清算条項

離婚協議書において記載した内容以外にお互いに債権債務が存在せず、かつ離婚協議書で取り決めしたもの以外は一切請求しないという証となる条項。離婚後の余計なトラブル回避のためにも入れておきたい文言です。

2. 万が一に備えて公正証書を作成する

一括払い・現物払い以外は基本的に金銭の授受について離婚後も相手とやり取りをする必要があります。その際に強制執行できる強制力がなければ一から裁判を起こさなければなりません。よって公正証書を作成しておくことが重要となるでしょう。公正証書とは法律の専門家である公証人が作成した契約書面のことです。当然ながら中立・公正の立場で作成します。

3. 離婚協議書を公正証書で作成する4つのメリット

手間もお金もかかる公正証書ですが、作成するメリットは以下の4つです。

  • 法律の専門家である公証人が作成するため証拠能力十分
  • 双方が合意した内容を遵守するようになる
  • 情報開示に利用できる
  • 約束が履行されなければ強制執行できる

メリット1. 法律の専門家である公証人が作成するため証拠能力十分

裁判に発展した場合においても、法律の専門家が作成しているため裁判所においても極めて証拠能力の高い書類として判断が下されます。

メリット2. 双方が合意した内容を遵守するようになる

公的機関も保管している公正証書であれば、必然的に守らなければいけないといった心理的プレッシャーが生じます。よって双方にとっても合意内容が履行される可能性が高まるワケです。

メリット3. 情報開示に利用できる

お金のことなどについて約束した内容が履行されなければ差押の準備として財産調査が必要となります。その際にこの公正証書があれば、第三者に情報を開示してもらうことができるのです。公正証書がない場合は裁判で勝たなければなりません。

メリット4. 約束が履行されなければ強制執行できる

養育費などが支払われなくなった場合も有効です。公正証書で作成しておけば速やかに強制執行によって養育費分の回収を行うことが可能です。

公正証書作成の流れ

公正証書に記載する内容を協議

まずは夫婦で離婚協議書の内容をしっかりと取り決めしましょう。お金のことに関しては金額・支払期日・支払方法まで細かく決めておかなければなりません。

STEP
1

2人で公証役場に行き公正証書の作成を依頼(1回目)

財産分与の対象に不動産があったりしたら「登記事項証明書」や「固定資産税評価証明書」、年金分割がある場合には「年金手帳」「年金情報に関する通知書」などを準備し、公証役場に作成を依頼しましょう。

必要なものは以下の通りです。

  • 身分証明書
  • 実印
  • 印鑑登録証明書
  • 離婚協議書案文
STEP
2

公証人が公正証書を作成

作成期間は1週間から1か月程度です。公証役場や時期によって異なりますので直接確認してください。なお内容の確認についてはメール等でのやり取りとなります。双方がしっかりと確認をし、当日までに書類を見ていなかったなどということがないようにしましょう。

STEP
3

2人で公証役場に行き署名捺印(2回目)

当日することは2つです。

  • 公正証書の内容を確認し、署名捺印をする
  • 「送達証明書」の申請をする

です。また「送達証明書」とは強制執行をする際に必要となる書類のひとつで、債務者に「執行認諾文言付公正証書」が送達されたことを証明するものです。公正証書作成時に証明申請をしておくことで債務不履行時に速やかに強制執行することができます。

STEP
4
目的の価格公正証書作成手数料
100万円以下5000円
100万円超から200万円以下7000円
200万円超から500万円以下1万1000円
500万円超から1000万円以下1万7000円
1000万円超から3000万円以下2万3000円
3000万円超から5000万円以下2万9000円
5000万円超から1億円以下4万3000円

夫婦の合意が必要不可欠

ご自身の主張を押し通そうとするあまり協議が不成立にならないよう注意

これまで離婚協議書・公正証書についてご説明してきましたが、あくまで双方が合意して初めて成立するものです。合意がなければ結局のところ調停や審判などで離婚を決着せざるをえません。そうなるとお金も時間も余計に掛かってしまいます。日本の離婚は9割が協議離婚ですが、1割はそのように揉めるケースもあるということです。

ご自身の主張を押し通すことと同時に、ひょっとしたら合意に至らず裁判になるという可能性があるということも念頭に置いておくことが肝要です。