任意売却の解説<vol.6_滞納管理費等の回収>

2021.01.20 / ニュース&ブログ一覧

みなさん、こんにちは。PLY不動産研究所の鈴木です。

本日は滞納管理費・修繕積立金の回収についてです。管理組合側がどのような対応を取ることができるのかを知っておくことが肝要です。前回のブログ「vol.5_区分建物所有法第59条」では管理組合側が競売を申し立てることができるということ、またその運用については裁判所の判断を仰がなければならないというお話をしました。それ以外に方法はないのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

<滞納している管理費等の回収について>

区分建物所有法59条では、共同生活を営む上での権利義務を放棄した区分所有者を排除するという目的で競売の請求ができるという条文でした。

では管理費の滞納の場合はどうでしょうか。もちろん管理費の滞納だけでも59条の競売が認められるケースもございますが、既述の通り裁判所も慎重な対応となります。では他に方法はないのでしょうか。以下の2通りがございます。

1、区分建物所有法第7条による管理費回収

2、強制執行

強制執行についてはブログ「vol.2_強制執行」に掲載しておりますのでそちらをご覧ください。では実際に区分建物所有法第7条を見てみましょう。

区分建物所有法第7条(先取特権)「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。(以下省略)」

e-gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」より

少し難しいので説明します。

まず区分所有者には、債務者である他の区分所有者の所有する当該マンション内の建物等から優先的に自己の債権の弁済を受ける権利という先取特権を有しているということです。先取特権についても併せて見てみましょう。先取特権は民法に規定があります。

民法303条「先取特権は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる。」

e-gov法令検索「民法」より

区分建物所有法第7条は、この条文を区分所有者間に当てはめたものです。

そしてこの先取特権には3つの種類があります。

1、一般先取特権

2、不動産先取特権

3、動産先取特権

なお区分建物所有法第7条の「先取特権」は一見すると不動産先取特権かのように思いますが、一般先取特権に該当します。不動産先取特権は「不動産の保存、不動産の工事、不動産の売買」によって生じた債権にあたりますので、こちらには該当しません。

そして区分建物所有法第7条2項に「共益費用の先取特権とみなす。」とありますが、これは一般先取特権の一部です。以下ご覧下さい。

民法306条(一般先取特権)「次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。1 共益の費用 2 雇用関係 3 葬式の費用 4 日用品の供給」

民法307条(共益費用の先取特権)「共益費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
2 前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。」

e-gov法令検索「民法」より

この規定が管理規約などに反映されて区分所有者への対応に繋がっていきます。

<区分建物所有法第7条もしくは強制執行の運用について>

では実際の運用はどうでしょうか。

区分建物所有法第7条では債務名義が不要です。よって強制執行と比較してひと手間少なくなっています。しかしこの後に実際に区分建物所有法第7条による競売であれ、強制執行による競売であれ、大きな壁が立ちはだかります。

それは「無余剰の取り消し」です。

競売とは、債権者が債権の回収を図るために、裁判所に申立てをして債務者の不動産を強制的に換価してもらい、他の債権者と公平になされる配当をもって、債権の回収を実現する手続きのことです。

つまり債権の回収が目的であるため、債権の回収の見込みがない競売については裁判所の判断で競売開始決定の取り消しをすることができるのです。よって住宅ローンの抵当権があるマンションなどは取り消しになるケースが高くなります。

本日は以上です。

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