任意売却の解説<vol.8_無剰余の取り消し(その2)>

2021.01.22 / ニュース&ブログ一覧

みなさん、こんにちは。PLY不動産研究所の鈴木です。

本日は、前回任意売却の解説<vol.7_無剰余の取り消し(その1)>の続きです。

前回は

1、買受可能価額<手続費用
2、買受可能価額<優先債権+手続費用

となったら強制競売を申し立てた債権者にその旨を通知するということが民事執行法第63条に規定されているというお話でした。

では通知をしたら次はどのような手続きになるのでしょうか。
裁判所は以下のように対応します。

通知から一週間以内に申立債権者から申出及び保証の提供がなければ、裁判所は強制競売手続きの取消をしなければならない

民事執行法63条2項以降を見ていきます。

「2 差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、優先債権がない場合にあっては手続費用の見込額を超える額、優先債権がある場合にあっては手続費用及び優先債権の見込額の合計額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。

ただし、差押債権者が、その期間内に、前項各号のいずれにも該当しないことを証明したとき、又は同項第二号に該当する場合であって不動産の買受可能価額が手続費用の見込額を超える場合において、不動産の売却について優先債権を有する者(買受可能価額で自己の優先債権の全部の弁済を受けることができる見込みがある者を除く。)の同意を得たことを証明したときは、この限りでない。
一 差押債権者が不動産の買受人になることができる場合 申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供
二 差押債権者が不動産の買受人になることができない場合 買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と買受可能価額との差額に相当する保証の提供

3 前項第二号の申出及び保証の提供があつた場合において、買受可能価額以上の額の買受けの申出がないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。

(以下省略)

e-gov法令検索「民事執行法」より

この条文は簡潔にすると以下の通りです。

1、申立債権者は一週間以内に以下の方法で担保提供をしなければなりません。

1)「買受可能価額<手続費用」の場合

① 申立債権者が「手続費用(見込額)」以上で買い受ける

② 申立債権者が自ら買受ができない場合、その買受可能価額と見込額の差額を保証する
自ら買い受けができないという場合というのは、自らの意思で買い受けをしないということではなく、例えば目的物が農地で農地取得の資格がない場合などが該当します。そしてその保証については、現金もしくは裁判所が相当と認める有価証券等によって事前に提供しなければなりません。

2)「買受可能価額<優先債権+手続費用」の場合

① 申立債権者が「優先債権+手続費用(見込額)」以上で買い受ける

② 申立債権者が自ら買受ができない場合、その買受可能価額と見込額の差額を保証する
自ら買い受けができないという場合というのは、自らの意思で買い受けをしないということではなく、例えば目的物が農地で農地取得の資格がない場合などが該当します。そしてその保証については、現金もしくは裁判所が相当と認める有価証券等によって事前に提供しなければなりません。

ただし書き以降は「申出及び保証の提供」以外の方法が記載されています。

2、剰余が生じることを証明する

1)「買受可能価額<手続費用」の場合
申立債権者が手続費用(一部または全部)を放棄することにより剰余が生じることを証明する

買受可能価額が手続費用に達しないということであれば、その差額を放棄してしまえばよいわけですので、その旨を申し出すれば競売手続きをすること自体問題ありません。

2)「買受可能価額<優先債権+手続費用」の場合
優先債権が既に弁済を受け消滅していることを証明する

抵当権が設定がなされているが弁済を受けてすでに消滅している優先債権も算入されている場合もございます。その場合申立債権者はその旨を証明すればよいわけです。

3、優先債権者の同意を得る

優先債権者に競売続行の同意を得る方法もございます。なお買受可能価額で債権の弁済の全額を受けられる優先債権者からは同意を得る必要はありません。

いかがだったでしょうか。
このように競売の手続きは慎重な対応に基づいて行われています。また安易な強制執行自体ができないように法律で定められているのです。

本日は以上です。

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