任意売却の解説<vol.7_無剰余の取り消し(その1)>

2021.01.22 / ニュース&ブログ一覧

みなさん、こんにちは。PLY不動産研究所の鈴木です。

本日は強制競売の無剰余の取り消しについてです。

<無剰余の取り消しとは>

競売は、債権者の債権の回収を図るために、裁判所が債務者等の所有する不動産を強制的に換価し、その他の債権者と公平に配当をすることで、債権の回収を実現する手続きです。

債権の回収が目的となるわけですから、配当を受けられないのであればそもそも競売をやる必要がありません。そこで配当を受けられる見込みがなければ、裁判所は競売申立をした債権者に通知の上で競売手続きの取り消しをしなければなりません。その規定が無剰余の取り消しです。

無剰余取り消しは民事執行法第63条に規定があります。
詳しく見ていきましょう。

民事執行法第63条(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置」
「第六十三条 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。
一 差押債権者の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。
二 優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないとき。」

e-gov法令検索「民事執行法」より

買受可能価額の算出および手続費用等が買受可能価額が満たない旨の通知

裁判所は以下の2つのうちのいずれかに該当した場合には、競売申立をした債権者にその旨を通知しなければなりません。

  1. 買受可能価額<手続費用
  2. 買受可能価額<優先債権+手続費用

買受可能価額とは競売の入札ができる最低価格のことです。買受可能価額は、裁判所の評価命令に基づいて不動産鑑定士が不動産の評価をし、その評価額を基準に算出されます。その算出は裁判所により多少異なりこともございますが、以下のように計算されます。

例)
不動産鑑定士による評価額 2000万円
売却基準価額 ×0.7 1400万円
買受可能価額 ×0.8 1120万円

では仮に手続費用が60万円として、どのような場合に無剰余の取り消しとなるのでしょうか。以下のような債権者の状況であるという想定でお話をしていきます。その場合にそれぞれの債権者毎でどう違うのでしょうか。

(パターン1)
一番抵当権(A銀行) ローン残り100万円
申立債権者(B会社) ローン残り500万円
買受可能価額1120万円>優先債権100万円+手続費用60万円
→競売手続きはそのまま進行します。

(パターン2)
一番抵当権(A銀行) ローン残り1100万円
申立債権者(B会社) ローン残り500万円
買受可能価額1120万円<優先債権1100万円+手続費用60万円
→無剰余取り消し

※わかりやくするため簡易な計算にしています。

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