任意売却の解説<vol.11_保証委託契約(その1)>

2021.01.24 / ニュース&ブログ一覧

みなさん、こんにちは。PLY不動産研究所の鈴木です。

さて前回までで代位弁済保証会社についてご説明しました。
本日は保証会社の保証委託契約にどのような条文が記載されているか見てみましょう。

保証委託契約の一般的な約款を確認していきます。
基本的に金融機関の金銭消費貸借契約の約款と重複する部分が多いです。

まずは担保についての記載があります。
担保は主に以下の2つになります。

  1. 購入する不動産(滅失等で担保が不足した場合は追加で差し入れ)
    当然ですが購入する不動産自体は担保の対象となります。
  2. 火災保険の質権
    建物の火災により火災保険が支払われる場合に、住宅ローンを借り入れしている人に代わり、金融機関が保険金を受け取れるようにするということです。こうすることで回収率が上がります。

次に求償権についてです。
求償権とは「他人の債務を代わりに弁済した人が、その債務者に肩代わりした分を請求する権利」のことです。つまり債務者に代わり金融機関に弁済をした保証会社に求償権が発生することになります。

この求償権の範囲について保証委託契約では以下のように記載されています。

1)代位弁済した金額
2)代位弁済した日の翌日から完済までの遅延損害金
3)上記に要した費用総額

この範囲は民法第459条(委託を受けた保証人の求償権)に規定されていています。

民法459条「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。
2 第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。」

e-gov法令検索「民法」より

第二項にある第404条(連帯債務者間の求償権)第二項で、遅延損害金や費用も求償できる旨が記載されています。

なお保証委託契約では事前求償権を有することについても記載があります。
これは要するに保証人になった人が、債権者から請求されそうなので事前に主たる債務者に請求できるように定めた条文です。

民法上は以下に規定があります

民法460条「保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。」

e-gov法令検索「民法」より

保証委託契約では基本的に「期限の利益の喪失事項」(ブログ「vol.4_期限の利益」参照)のような項目が列挙されています。

金融機関に代位弁済の請求がされずとも、保証会社も自社の判断で請求できるように規定を設けているのです。

なお第一項は、債権者が破産財団の配当に加入しないとなると、主たる債務者は破産手続きで免責となるも、保証人だけ請求されるということになってしまうので、その場合に備えて事前求償権で保証人の権利をカバーしています。
しかし通常の住宅ローンでは保証委託契約と同時に抵当権の設定がなされますので、このような事態には陥りません。

本日は以上です。

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